ビフィズス菌や乳酸菌の菌株ってなんですか?
細菌は、その形態や培養性状、遺伝子の塩基配列の相同性などをもとに分類されます。例えば、ビフィズス菌は分類学的には Bifidobacterium 属(ビフィドバクテリウム属)という菌属に属し、 Bifidobacterium 属の中でも longum 種(ロンガム種)や breve 種(ブレーベ種)といった菌種に分けることができます。乳酸菌という名称は分類学上の呼び名ではなく、糖を発酵して大量の乳酸を作る細菌の総称で、乳酸菌に当てはまる菌属としては Lactobacillus 属(ラクトバチルス属)や Streptococcus 属(ストレプトコッカス属)などが挙げられます。これらもさらに Lactobacillus 属の中でも acidophilus 種(アシドフィルス種)や gasseri 種(ガセリ種)といった菌種に分類することができます。
細菌の種類を表す菌種の中には Bifidobacteium breve JCM1192T や Lactobacillus gasseri JCM1131T といった「菌株」があり、菌株は1つの細菌から分裂増殖した菌の集まりを指します。同じ菌種に属する異なる菌株は、菌種としての共通の特徴や性質を持つ一方で、様々な性質を調べると菌株ごとに異なる性質を持ちます。同じ動物種に属する人間であっても、個人ごとに特徴や性格は異なるように、同じ菌種に属する菌株であっても、菌株ごとに性質は異なるのです。
ビフィズス菌や乳酸菌は摂取することで健康に良い影響を与えることが知られていますが、そのような健康への効果も菌株の違いによって異なると言われています。同じ菌属・菌種でも菌株ごとにヒトへの効果は異なるため、健康のためにビフィズス菌や乳酸菌を摂取する際は、期待する効果についての研究結果があるかどうかなど、科学根拠がある菌株を選択することが大切です。