公益財団法人 腸内細菌学会/腸内細菌学会 Japan Bifidus Foundation(JBF)/Intestinal Microbiology

当財団について


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理事長メッセージ

  • 公益財団法人 腸内細菌学会理事長 清野 宏
  • 公益財団法人 腸内細菌学会
    (旧 日本ビフィズス菌センター)
    理事長 清野 宏

第25回腸内細菌学会学術集会 挨拶のことば

2021年6月1日

コロナ禍において昨年の学術集会は誌上開催、そして今年はウェッブ開催となり、今後の学術集会開催形式の多様化に繋がります。学術集会長の阿部先生、同財団学術委員会神谷先生をはじめ本学術集会の企画・運営に携わっていただいた先生方・皆様に心から御礼申し上げます。

さて、当財団は2021年3月をもって設立40周年を迎えました。
設立時における財団の理念は「内なる環境の整備」「腸内菌叢を中心とする内なる環境に関する研究」を基本とし、ビフィズス菌に代表される腸内菌叢と宿主とのかかわり合いに関する研究の開発と推進を目指すものでした。

設立からの歩みを記録に基づいて少し振り返ってみますと、当財団の前身である「ビフィズス菌に関する腸内増殖研究会」が、開会式の際に、五十君先生から哀悼の意が表された光岡先生他本間先生、田村先生、中谷先生の諸先輩先生方の主宰及び協賛企業数社の協力により発足したのは50年前の1971年です。数年後にこの研究会を基にした産学協同の学術団体を作ることが提案され、協賛企業26社より基本財産、運転資金を拠出頂き、1981年4月に「財団法人日本ビフィズス菌センター」が設立されました。

財団設立当初から、学術集会での主要な研究テーマは、乳幼児期から老年期に至るまでの健康期、病態期の腸内菌叢が議論され、ビフィズス菌の消長に及ぼす影響が論じられ、「腸内菌叢と宿主」を世界に先駆けて提唱したことからプロバイオティクス、プレバイオティクス、などの開発が推進されてきました。

近年に至り当財団が訴求している「宿主と消化管微生物の関係に関わる研究開発」において、次世代シークエンサーを活用したメタゲノム解析などによる包括的解析がスピーディに行われるようになり全体像が明らかになってきました。さらに、腸管免疫学に関する知見の進展も目覚ましいもがあり、消化管の免疫系と微生物を超生命体として捉え、その制御が免疫学的・生理学的恒常性維持、そして、その破綻が疾患発症に関わっている事などが明らかになってきました。

この様な学問的変遷と発展をふまえて、当財団にとって近年大きな変革となったのは財団名の変更です。近年の腸内微生物の研究に関する飛躍的な発展により、多種多様な腸内微生物と生体との関係、さらに宿主の健康に資する基礎・応用研究活動を行う学術団体を志向することを明確にする必要があり、2019年6月、財団名を「公益財団法人日本ビフィズス菌センター」から「公益財団法人腸内細菌学会」へと変更致しました。

この名称変更は、当財団が諸先輩先生方により開拓され築かれたビフィズス菌に代表される多種多様な腸内細菌と宿主間における共存共栄の生物学的、生命科学的、医学的意義の理解を通して、人類の健康に寄与する学術基盤訴求に向けた最先端の技術・理論の導入、そして異分野融合を通した未来型腸内細菌学創出を目指すものです。

今後とも当財団の継続的発展に向けて、関係者及び会員の皆様のご理解とご協力を心よりお願い申し上げます。

「ポスト新型コロナウイルス感染症(COVID-19)未来型社会と研究」へ向けて

2020年6月1日

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による感染症(COVID-19)拡大防止のため、2020年4月16日に緊急事態宣言が全国に拡大され、それに伴って外出自粛、テレワーク導入、事業者への休業が要請されました。その成果によって新規の感染者数が減少傾向を示し、5月14日には東京、大阪圏、北海道を除く39県で、さらに5月25日には全国で緊急事態宣言が解除され、この経験を踏まえた「未来型会」作りに向けて、「新しい生活様式」への第一歩が始まりました。しかしながら、首都圏、福岡、北海道などにおいては依然として感染者の発生が見られており、今後、具体的な数値の推移を注意深く見守っていかなければいけません。世界的規模のパンデミックですが、感染の経路・拡大などが、各国・各地域の医療事情にはじまり、人間の行動様式、社会的価値観、社会的環境が大きく関わっている事も明らかになってきました。社会としての連帯が生み出す力は、パンデミック制御に重要な事も示されています。我が国においても、今後、第2波の感染拡大も考慮し、各都道府県レベルで地域の特性・特徴を踏まえた「新しい生活様式」作りを進めていく事が大切と思われます。

世界的な規模で見るとCOVID-19終息にはまだかなりの時間が必要と考えられます。一方で、今回サイエンスの凄さを目の当りにしました。昨年の11月に同ウイルスの存在が報告されてからこの半年の間に、ウイルス遺伝子情報からその遺伝子変異、そして感染・伝搬機構などが明らかになり、現在も大変な勢いで先導的研究が世界中で展開され、治療薬・ワクチン開発研究に向けて貴重な情報が発信されています。これらの研究成果の一部は「新しい生活様式」にはじまる「未来型社会」構築への理論的裏付けにもなっています。サイエンスによるSARS-CoV-2とCOVID-19の研究成果と理解は、必ず明るい方向性を見出してくれると信じています。

感染終息のためには、有効な治療薬が供給されると同時に、ワクチンが開発されることが必要であり、そこに向けてサイエンスは必ず我々を導いてくれます。我々はその時まで、SARS-CoV-2の存在を常に意識し、社会の一員として感染防御を念頭に行動する「新しい生活様式」に努めると同時に、パンデミックでの経験をベースに、未来に向けた社会変革を見出していく事が重要です。「元に戻る」のではなく、「個人の価値観」を尊重し、「多様性」を認め合う事で、新しい働き方、新しい開発研究の仕方、新しい人材育成システム、新しい経済活動などを創造・創出して、「連帯と協調」の上に「未来型社会」を構築していく機会と捉えて前に進みましょう。

わが腸内細菌学会も、財団としての最大で最も重要な事業である学術集会を、本年度は「誌上開催」という新しい形式で開催する事になりました。本年度の第24回腸内細菌学会学術集会(札幌大会)は、北海道での初開催という事で、大会長の綾部先生、学術委員長の神谷先生、また学術委員各位の多大なるご尽力により企画準備が進められてまいりましたが、COVID-19の状況を踏まえて「誌上開催」として腸内細菌学会誌に発表内容を公表できることになりました。この場をお借りいたしまして、綾部先生はじめ準備を進めて頂いた皆様の多大なるご尽力と会員の皆様の深いご理解に心より感謝申し上げます。また、本大会へご協賛をいただきました企業会員様、旭川医大同門会様他、多くの関係者各位にも心より御礼申し上げる次第です。

今回のコロナ禍において、本学会の会員や関係者各位におかれましては、最前線で検査や治療などの医療業務に携わられたり、日々の開発研究へ「ポスト新型コロナ時代の未来型社会」を求めてリモート・テレワーク導入やオンライン講義など新しい試みを努力されていることと存じます。学会としてそのご尽力に最大限の敬意を表するとともに、ポスト新型コロナ時代における新しい研究プロジェクトや研究体制の構築に必ずや生かされるものと考えています。当財団におきましても、今後はLIVE・WEB配信などを活用した新しい学術集会やセミナーを展開し、また各種委員会・会議などもオンラインで開催するなど、新しい運営システムの導入を進めることになると考えております。

この度のSARS-CoV-2パンデミックと過去のパンデミック、そして新興・再興感染症を考えると、その原因となる各病原体を完全に駆逐する事を目指す研究の推進も重要ですが、一方で、今後人類はこのウイルスをはじめとして病原体と共存する研究も必要になると思われます。ウイルスの撃退・排除機構の解明と理解だけではなく、私ども人類との共存関係とその環境の構築についてのサイエンスの発展も重要と考えます。本腸内細菌学会のめざす「微生物との共生」の理解に向けた研究は、病原体との共存関係構築の理解にも繋がるものであり、これを機会に微生物との共生、そして病原体との共存を可能にする薬品や食品などの開発を促進するための基礎研究の拡大・加速に向けて、会員および関係者各位の学術的・社会的活動と貢献がますます期待されています。

今後、引き続き「ポスト新型コロナウイルス感染症(COVID-19)未来型社会構築」に向けて困難な状況が続くと考えられますが、皆様におかれましては健康にご留意され、この難局を克服するために連帯し、さらなる前進を目指して一丸となって邁進していきましょう。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)克服に向けて

2020年4月17日

今日世界中において毎日のように感染者とそれに合わせて死者も増加をもたらしている「COVID-19」は、まさに第二次世界大戦後最大ともいえる脅威となって私たちの生活を脅かしています。本年3月11日のWHOによるパンデミック宣言以後感染は拡大し、4月16日現在我が国における感染者数は8,582人、死亡者数は136人に達し、さらに全世界では痛ましく198万人以上が感染し、約13万人が亡くなっています。我が国においては4月7日に「新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態宣言」が発令され、世界各国においても厳しい対策が取られていますが、その勢いはなお衰えず先行きの見えない不安な状況が続いています。当財団も2020年6月に予定していた第24回腸内細菌学会学術集会を中止し誌上開催とすることを余儀なくされる事態となりました。

この危機的な状況において、感染を受けてお亡くなりになられた方々とご家族の皆様への深い哀悼の意を表しますとともに、現在闘病を続けておられる方々へのお見舞いを述べさせて頂きます。さらに感染リスクが高い最前線で診断、治療、予防などに従事し日夜奮闘を続けておられる医療関係者、それを支えている周囲の方々とそのご家族他、多くの皆様に心よりの感謝を申し上げる次第です。

(公財)腸内細菌学会では、財団の基本理念として「腸内菌叢と宿主とのかかわり合いに関する先駆的、独創的研究の開発と推進」を掲げ、その成果を健康社会構築に反映するべく活動しております。基礎科学としての腸内微生物の重要性を認識し、宿主との相互作用およびその制御について生理学的、免疫学的、病理学的、栄養学的、神経学的視点などからの多面的なアプローチを試み、最終目的は、様々な微生物と宿主の間における「共生・排除」の関係を理解し、宿主ヒトの健康維持・増進をめざしています。

近年の研究により、生体の呼吸器・消化器などを覆っている粘膜組織の免疫システムと微生物叢との間で繰り広げられている「共生と排除」関係を誘導・制御する生物学的営みが、感染症・アレルギー・自己免疫疾患・生活習慣病・癌などの発症と関わっている事が分かってきました。さらに、微生物やその代謝産物によって免疫作用が制御され、ウイルスや細菌からの感染、アレルギーや癌などの発症を予防できる可能性が示されています。今回の新型コロナウイルス「SARS-CoV-2」の出現の例を念頭に置くと、粘膜組織における免疫システム、常在している共生微生物叢そしてそれに対して侵入を試みる「SARS-CoV-2」という三者間での生物学的攻防を理解する必要があります。その観点からも、当財団の基本理念のもとに集まっている我々研究者の研究成果がその理解に結び付くよう、皆で協力して邁進していきましょう。

当財団の学術活動に寄与して頂いている生命科学、医学、歯学、薬学、農学、理学など多様な専門性を有する産官学からなる研究者の方々が推進している粘膜組織の免疫システムをターゲットとする経鼻・経口ワクチンに代表される「粘膜ワクチン」、生体恒常性や腸内共生系の健康的維持・向上や免疫の増強などに寄与する「腸内細菌・代謝産物カクテル」や「プロバイオティクス」等の研究開発は急務であり、継続性を持って進めていかなければなりません。当財団の訴求する理念に基づくこれらの研究開発が直接的あるいは間接的に治療薬やワクチンの開発につながる事は言うまでもありません。その信念の下に日々研究に邁進されている皆さんの安全と安心を最優先に我々の研究活動を通してこの難局克服に向けて、一丸となって前に進んでいきましょう。

当財団は今般の「COVID-19」の事例を胸に刻み、関連・異種分野との融合と研究促進を図り、その研究成果を世界に向けて発信し、国内にとどまらず世界の病気の予防・健康増進に貢献し、我々の国際的存在価値を高め、グローバルな健康社会の構築の牽引力となるよう努力を続けてゆきます。そして私ども研究者はその使命の下に、どんな状況下でも黙々と研究を推進して、将来起こりうるこの様な不測の状況打破に向けて貢献することを誓うものであります。研究に従事する皆さんの安全・安心に配慮するとともに、この困難を打破するように我々の研究活動を通して我が国はもとより世界に貢献すべく頑張りましょう。

当財団の名称変更を含む定款改定及び関連する事項について

2019年7月

当財団では一昨年より「企画総務国際委員会」におきまして、当財団の将来と方向性について検討を行って参りました。昨年1月には全会員に対するアンケートを実施し、結果を会員に対してフィードバック致しました。アンケートに基づき昨年6月に理事、監事、評議員各位の意見を承り、継続的に委員会での検討を続けてまいりました。その結果、当財団の将来と方向性について、定款の変更、財団名称の変更を含めた以下の改革案を取りまとめ、常務理事会で審議し、3月5日の理事会、6月24日の評議員会に提案させて頂きご承認いただきました。

  1. 現在までの財団の歩みを基盤として、財団の理念・使命、将来の方向性を考え、ビフィズス菌からはじまり、広く腸内細菌も含めた腸内微生物を対象とした財団に成長した本財団の実状を踏まえて、「ビフィズス菌を中心とする腸内細菌」から「腸内微生物」に対象を広げることとし定款の関連部分を変更する。(当財団について→定款ご参照)
  2. 「ビフィズス菌腸内増殖に関する研究会」を原点とする財団の歴史、財団の理念と使命と将来の方向性を記した「当財団の沿革」を定款の前文に明記する。(当財団について→定款ご参照)
  3. これに合せて当財団の名称を、学術集会「腸内細菌学会」、学術誌「腸内細菌学雑誌」、の名称と統一し「公益財団法人日本ビフィズス菌センター」から「公益財団法人腸内細菌学会」に変更する。
  4. 今回の変更に至る経過を説明した「当財団の理念、沿革、将来の方向性及び新名称について」をホームページに掲載する。(「当財団の理念、沿革、将来の方向性及び新名称について」ご参照)
  5. 「日本ビフィズス菌センター」の名称は商標で法的に保護し、ロゴマークは継続使用する。
  6. 今回の変更に合わせて、当財団の継続的発展にむけて執行体制をさらに強化することを目的に理事の定数を現在の15名から20名に変更する。(当財団について→定款ご参照)
  7. 「腸内細菌学会」の英語名を「The Intestinal Microbiology Society(IMS)」とする。

1981年に設立後38年が経過した当財団が今回、会員、関係者の皆様のご協力とご理解のもとこのような変革に至りましたこと、非常に感慨深いものがございます。しかしながら、当財団が求め続けてきた「腸内微生物と宿主の健康にかかわる学術的な訴求」は今後とも変わることはございません。当財団は将来にわたり皆さまと一緒に、ビフィズス菌を含む多種多様な腸内微生物と生体との幅広い関係を学際的に広く深く訴求し、宿主の健康に資する基礎・応用研究活動を行う学術団体を継続的に志向し、そのリーダーシップを担うものと考えます。

当財団が今日まで継続し、発展できたのは一重に個人会員、特別会員、団体会員はじめ多くの関係者の皆様方のご協力と熱いご支援の賜物です。ご承知のように当財団の運営は個人会員はじめ、企業会員各位のご協力とご支援が無ければ成り立ちません。ここに長年のご協力とご支援に対し、厚く感謝し、心よりお礼申し上げるとともに、今後とも引き続き腸内微生物と宿主の生物学・医学的相互関係の理解に向けた学術団体として、「公益財団法人腸内細菌学会」が継続的に発展するように、皆様方のご支援とご協力のほどお願い申し上げる次第です。

当財団の理念、沿革、将来と方向性及び新名称について

当財団の設立母体は1971年から2001年まで計56回にわたり開催された「ビフィズス菌腸内増殖に関する研究会」であります。この研究会は本間道先生(故人)をはじめとし、田村善蔵先生(故人)、中谷林太郎先生(故人)、光岡知足先生と6社の幹事企業により運営されました。この研究会を発展させ、新たな産学協同の学術団体を作ることを目的に1978年設立準備会議が発足し、設立趣意書などの作成、拠出金を募るなど準備が進められました。その結果賛同企業26社から7,000万円(基本財産6,000万円、運用財産1,000万円)が拠出され、当初の資産として整えられ、1981年4月1日文部省から「財団法人日本ビフィズス菌センター」の設立が許可されました。申請時財団名を「ビフィズス菌学会」としたが文部省の指導により「日本ビフィズス菌センター」となりました。
設立時、財団の基本理念は下記5項目に要約され、その当時広い意味で宿主との関係において腸内細菌叢を代表するものはビフィズス菌であったことから「ビフィズス菌」が財団の名称の中に含められました。

  1. 内なる環境の整備
  2. 腸内菌叢を中心とする内なる環境に関する研究
  3. 学際的な学問の推進活動を世界に先駆けて行う
  4. 腸内菌叢と宿主とのかかわり合いに関する先駆的、独創的研究の開発と推進
  5. 以上を遂行するに資するための事業(情報の収集と提供:学術集会の開催:機関誌発行)の遂行

2008年の公益法人制度改革関連法の整備により、公益法人への移行が求められ、当初の設立理念を引き継いだ法人として「公益財団法人日本ビフィズス菌センター」を内閣府に申請し、2013年4月1日に認定され設立されました。
当財団は母体である「ビフィズス菌腸内増殖に関する研究会」から「財団法人日本ビフィズス菌センター」「公益財団法人日本ビフィズス菌センター」と一貫して「ビフィズス菌」をその名称に使用してきた。その理由は下記に示されます。

  1. 設立に携わられた先生方により、ビフィズス菌を中心とする腸内菌叢と生体のかかわりは今後発展するライフサイエンスにおける産学共通の重要課題であると考えられたこと。
  2. 財団設立申請にあたり文部省より学術団体としての確実性と継続性が求められ、10年間以上継続した「ビフィズス菌腸内増殖に関する研究会」が基盤とされたこと。

ビフィズス菌の腸内環境における重要性はゆるぎないものですが、近年のライフサイエンス分野における腸内微生物の研究に関する飛躍的な発展を考えると、当財団は将来にわたりビフィズス菌を含む多種多様な腸内微生物と生体との幅広い関係を学際的に広く深く訴求し、宿主の健康に資する基礎・応用研究活動を行う学術団体を継続的に志向し、そのリーダーシップを担うことを明確にすることが必要との考えに至りました。また当財団活動の中心である学術集会(腸内細菌学会)および学術誌(腸内細菌学雑誌)の名称と財団名の統一化を図ることが、今後の国内外における当財団の存在意義と発展、そして発信力の観点からも必要との結論に至りました。その結果2019年6月、当財団は名称を「公益財団法人日本ビフィズス菌センター」から「公益財団法人腸内細菌学会」へと変更することと致しました。
今回の名称変更は、当財団が「日本ビフィズス菌センター」として求め続けてきた理念と方向性「ビフィズス菌に代表される腸内微生物と宿主とのかかわり合いに関する先駆的、独創的研究の開発と推進」を将来にわたって継続し、そのリーダーシップを担いさらに発展させるとの考えに基づくものであります。
ここにあたり、財団の発足にご尽力された諸先生、またその後現在までの活動を支えて頂いている諸先生、さらに長期にわたり多大な支援を頂いている個人会員、特別会員、団体会員他諸氏に深く感謝し、敬意を表する次第です。

「当財団の理念、沿革、将来と方向性及び新名称について」の検討経過

  1. 2017年5月~10月「企画総務国際委員会(3回開催)」で「財団の将来と方向性」について議論を行い会員の考え、意見を幅広く聞くために会員に対するアンケート実施の考えに至った。
  2. 2017年12月~2018年1月アンケート実施について顧問の先生方(光岡知足先生、上野川修一先生)、名誉会員の先生方(金澤曉太郎先生、檀原宏文先生、川島拓司先生)のご意見を伺った。
  3. 2018年2月~3月全会員(個人会員・企業会員)に対してアンケートを実施した(配布数360件、回収120件)。
  4. 2018年5月アンケート結果について企画総務国際委員会及び常務理事会で審議し、対応を検討した。
  5. 2018年6月理事会(評議員陪席)にてアンケート結果を報告、理事、監事、評議員からご意見を伺った。
  6. 2018年7月全会員に対してアンケート結果を報告した。
  7. 2018年9月~10月「企画総務国際委員会(3回開催)」にてアンケート結果及び役員各位の意見等を踏まえ下記提言をまとめた。
    1. 現在までの財団の歩みを基盤として、財団の理念・使命、将来の方向性を考え、ビフィズス菌からはじまり、広く腸内細菌も含めた腸内微生物を対象とした財団に成長した本財団の実状を踏まえて、「ビフィズス菌を中心とする腸内細菌」から「腸内微生物」に対象を広げることとし定款の関連部分を変更する。
    2. 「ビフィズス菌腸内増殖に関する研究会」を原点とする財団の歴史、財団の理念と使命と将来の方向性を記した「当財団の沿革」を定款の前文に明記する。
    3. これに合せて当財団の名称を、学術集会「腸内細菌学会」、学術誌「腸内細菌学雑誌」、の名称と統一し「公益財団法人日本ビフィズス菌センター」から「公益財団法人腸内細菌学会」に変更する。
    4. 今回の変更に至る経過を説明した「当財団の理念、沿革、将来の方向性及び新名称について」をホームページに掲載する。
    5. 「日本ビフィズス菌センター」の名称は商標で法的に保護し、ロゴマークは継続使用する。
    6. 今回の変更に合わせて、当財団の継続的発展に向けて執行体制をさらに強化することを目的に理事の定数を現在の15名から20名に変更する。
    7. 「腸内細菌学会」の英語名を「The Intestinal Microbiology Society(IMS)」とする。
  8. 2018年12月、2019年2月、上記7)項の提言を常務理事会で審議し、理事会、評議員会に諮ることを決定した。
  9. 2019年1月~2月、上記7)項の提言を光岡知足先生、上野川修一先生、金澤曉太郎先生に説明した。
  10. 2019年3月理事会で審議し、評議員会に諮ることとした。
  11. 2019年6月評議員会で審議し、承認された。

BMFHシンポジウム2016開催にあたり(2016年)

このたび、日本乳酸菌学会、日本食品免疫学会、日本ビフィズス菌財団の三団体共同編集による、英文の学術誌BMFH(Bioscience of Microbiota, Food and Health)出版委員会の主催によります初のシンポジウム開催することとなりました。三団体を代表して、一言ご挨拶を申し上げます。
ご存知のようにBioscience of Microbiota, Food and Health(BMFH)は、日本乳酸菌学会、日本食品免疫学会、公益財団法人日本ビフィズス菌センターの三団体共同編集による、英文の学術誌であります。それまで各学会が独自に行っていた英論文の刊行を、一つにまとめて効率化することを目的に2012年で1月に創刊されました。2014年6月より PMC(PubMedCentral)に公開されており、Impact Factorの取得に向けての準備が進められております。詳細については、神谷編集委員長からご紹介があると思います。
BMFHに関わる学術団体、日本乳酸菌学会、日本食品免疫学会、腸内細菌学会の研究は世界の学術と産業に貢献していると認識しております。本三学会は腸管生態系を構成し、その制御に関わる微生物群、免疫細胞群、食物・栄養源を通した健康維持や病気のコントロールを目指して、微生物学的、生理学的、免疫学的、病理学的、神経学的栄養学的など多様な視点から、研究が進展しております。その成果は人類の健康の維持・向上に大いに貢献することが期待されます。三学会が目指す共通のゴールに向けて、三学会間はもとより関連・異分野学術領域との融合研究の促進がさらに必要となって参ります。 私達3学会は国内学会ではありますが、よりグローバルな視点から学術活動を展開し、研究成果を世界に向けて発信し、世界において当該研究の発展に貢献していくことが必要と考えております。その意味で当該分野を包括するBMFH(Bioscience of Microbiota, Food and Health)の存在意義は非常に大きいと考えております。
本シンポジウムを開催するに至りました経過は、BMFH編集と刊行の事務局を担当していただいている株式会社IPEC様より、BMFHをさらに発展させるために活用してほしいとの名目で、多額の協賛寄付金を拠出頂いたことがきっかけでございます。その寄付金をもとに本シンポジウムを企画、開催することができました株式会社IPEC様特に廣田社長にはこの場を借りまして厚くお礼申し上げます。さらに、グローバル化と言う視点から、海外特別講演をご支援いただいております日米医学協力事業日米免疫にも御礼申し上げます。最後に本シンポジウムの企画に大きなご尽力を頂きました各学会代表のBMFH出版委員会の先生方、特に委員長の神谷先生に感謝申しあげると同時に、今回ご発表頂きます先生方そして本日お集まりいただいた参加者の皆様に対しても心よりお礼を申し上げる次第です。皆さんと共にBMFHを大いに盛り上げ、発展させ、当該分野の研究成果を世界に向けて発信してゆこうではありませんか。

歴史に学び、世界に羽ばたく JBF(2015年6月)

2015年6月から歴史ある公益財団法人日本ビフィズス菌センターの理事長を拝命いたしました。皆様御存知のように、同センターは先見性のある先人の先生方のご尽力により「ビフィズス菌を中心とした腸内細菌叢(腸内フローラ)と宿主とのかかわりあいに関する研究開発の推進」を目的として、1981年4月に創設されました。実際には、我々が尊敬する先人達がその10年前から「ビフィズス菌腸内増殖に関する研究会」として、学術活動を積み上げてこられ、それを基盤としてセンターが設立されました。その歴史的経緯については、当財団ホームページ「財団の歩み」をご覧いただければと思います。そして、前理事長の上野川修一先生のリーダーシップとご尽力そして財団関係皆様のご協力により、内閣府からの認定を受け2013年4月1日より現在の公益財団法人としての活動が始まりました。その活動目的は、先人達が研究会の時代に掲げた姿勢とDNAを継承しながら、時代における学問の進歩と潮流を反映させ「ビフィズス菌を中心とした腸内細菌叢と宿主とのかかわり合いに関する学術情報の収集、提供を行うことにより斯学の進歩、普及を図り、もって我が国における学術の発展に寄与する」ことにあります。そして、具体的な事業として、

  1. ビフィズス菌および腸内細菌叢と宿主とのかかわりあい、すなわち<宿主と腸内細菌との共生>に関する情報の収集及び提供
  2. 学術集会の開催
  3. 機関紙その他刊行物の発行
  4. ビフィズス菌及び腸内細菌叢と宿主とのかかわりあいに関する研究の進展に資することを目的とした表彰

以上4項を主要事業として進めることが定款に明記されています。
上野川前理事長の下で皆さんにご協力いただいたことにより認定されました公益財団法人として、日本の学術のみならず世界の学術に貢献し、その成果が近い将来世界中の健康社会構築に結び付くように、皆さんとご一緒に当財団の運営を進めてまいります。当財団、そして財団が主宰する腸内細菌学会の皆様にはこれまで以上のご支援とご協力をお願い申し上げます。
さて、その腸内細菌学会は、通常国内学会の場合には頭に「日本」がつきますが、それがついていません。また英語名もそれを反映して”Annual Meeting of Intestinal Microbiology”という表記で開催されています。これが意味することは、国内はもとより常にグローバルな視点から、我々の学術活動を推進していくことだと考えております。さらに、その研究の方向性は、細菌学としての腸内細菌の重要性はもとより、宿主との相互作用・制御について生理学的、免疫学的、病理学的、栄養学的、神経学的視点なども含めて多面的な検討が必要です。当財団は関連・異種分野との融合研究促進を図り、世界に発信し、国内にとどまらず世界の腸内細菌学研究に貢献し、我々の国際的存在価値を高め、世界の健康社会構築の牽引力となるよう努力をしていきたいと思います。上野川前理事長の掲げられた財団の運営方針を継承しながら、国際化に向けたチャレンジを進めていきたいと考えております。そこで、私自身の専門が宿主側の粘膜免疫学であることを踏まえて、当財団の基盤である細菌学と言う視点から、そして国内とグローバルな展開を同時に円滑且つ建設的に進める為に、副理事長に杏林大学医学部感染症学講座の神谷茂教授にご就任いただきました。さらに、常務理事の五十君靜信先生、大草敏史先生とご一緒に日々の運営を、理事会・評議委員会メンバーの先生方のご指導を賜りながら進めてまいります。財団と腸内細菌学会の皆様には、我々が共有するミッション達成に向けて、是非忌憚のない声をお聞かせいただき、その運営に反映させていきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。JBF Climb to the World !!