公益財団法人 腸内細菌学会/腸内細菌学会 Japan Bifidus Foundation(JBF)/Intestinal Microbiology

学術誌


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Bioscience and Microflora 和文要約 Vol.23, No.4

Lactobacillus helveticus発酵乳の血圧降下ペプチドに関する研究

中村康則

カルピス株式会社 商品開発研究所

乳酸菌Lactobacillus helveticusは、強いタンパク分解活性を持ち、発酵中に乳蛋白質を分解し、潜在するVal-Pro-Pro, Ile-Pro-Proペプチドを産生する。Val-Pro-Pro, Ile-Pro-Proペプチドは、アンジオテンシン変換酵素阻害活性を有する。アンジオテンシン変換酵素は、アンジオテンシンIに作用し、強力な血圧上昇物質アンジオテンシンIIを産生することで知られる。動物実験およびin vitro試験の結果は、経口摂取されたVal-Pro-Pro, Ile-Pro-Proペプチドの一部が、インタクトな形態で消化管より吸収され、組織レニン・アンジオテンシン系に作用し、血圧を降下させることを示唆している。Val-Pro-Pro、Ile-Pro-Proペプチドは、生体に直接働きかけ、効果を発揮することから、バイオジェニックスとして機能する成分と考えられる。臨床試験では、Val-Pro-Pro、Ile-Pro-Proペプチドを含むL. helveticus発酵乳の摂取により、高血圧者の収縮期および拡張期血圧が有意に降下することを確認した。一方、L. helveticus発酵乳は、正常血圧者の血圧値には何ら影響を与えなかった。これらの結果は、L. helveticus発酵乳の利用は、高血圧を改善するための非薬物的手法として有用であることを示している。総説では、これら一連の研究結果を報告すると共に、最近、実施した臨床試験の結果にも言及する。

Bioscience Microflora 23(4):131-138

健康な成人におけるLactobacillus johnsonii La1含有発酵乳(LC1c)の排便改善効果
ー二重盲検プラセボ対照試験ー

福島洋一1)、山野俊彦1)、草野亜矢子2)、高田麻実子3)、天野麻穂3)、飯野久和3)

1)ネスレ日本株式会社 ニュートリション事業部、2)株式会社新薬開発研究所 臨床本部、3)昭和女子大学大学院 生活機構研究科

Lactobacillus johnsonii La1を含有する発酵乳(LC1c)の排便改善効果について明らかにするため、二重盲検プラセボ対照ヒト試験を行った。健康な24から67歳までの日本人男女57名(男性31名、女性26名)を無作為に2群に分け,LC1群(n=30)にはL. johnsonii La1株を1×109cfu含む発酵乳90 gを21日間毎日連続して、コントロール群(n=27)にはLa1株を含まないプラセボ発酵乳を同様に摂取させた。LC1群において、観察期の1週間あたりの排便回数が7回未満の便秘傾向者(n=9)の排便回数、排便日数は、摂取前と比較して有意に上昇し(p<0.05)、摂取3週目で44%の被験者が週7回以上の排便回数となった。コントロール群の便秘傾向者(n=7)において、排便回数の改善は見られなかった。 便秘のない被験者の排便回数は、両群とも発酵乳摂取前後で差は認められなかった。L. johnsonii La1株は、LC1群の便採取を行った被験者10例中全例より回収され、La1株が生きたまま効率よく腸管に到達することが示された。別の健康な成人10名を対象とし、発酵乳LC1ィを1日あたり360 g、2週間過剰摂取させたところ、排便回数の上昇は見られたが、全例とも便性は正常で排便回数は1日2回未満であった。これらの結果より、プロバイオティクス菌株L. johnsonii La1株を含有する発酵乳LC1c)は、便秘傾向者の排便改善に役立ち、安全性にも問題のないことが明らかとなった。

Bioscience Microflora 23(4):139-147

Lactobacillus kefiranofaciensにより産生される細胞外多糖ケフィランがKKAyマウスの血糖及び低繊維食SDラットの便秘に及ぼす作用

前田浩明1)、朱 霞1)、光岡知足2)

1)大和薬品株式会社研究開発部、2)東京大学名誉教授

動物の経口投与実験により水溶性細胞外多糖ケフィランの生理作用について検討を行なった。その結果、ケフィランがKKAyマウスに対して血糖降下作用を示した。また、低繊維食により便秘を誘発させたSDラットを用いた実験では、糞の水分含量及び湿重量の増加によるケフィランの整腸作用が認められた。

Bioscience Microflora 23(4):149-153