公益財団法人日本ビフィズス菌センター/腸内細菌学会 Japan Bifidus Foundation(JBF)/Intestinal Microbiology

用語集


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バクテリオシン(bacteriocin)

バクテリオシンは主に類縁菌に対して抗菌活性を示すもので、リボゾーム上で合成されるタンパク質やペプチドの総称である。乳酸菌の中でもバクテリオシンを生産するものがあり、乳酸菌研究と乳酸菌利用の両面から注目されている。

1.乳酸菌のバクテリオシン

Kempermanら1)は、乳酸菌のバクテリオシンをアミノ酸組成、分子量、作用機構、分泌機構、抗菌スペクトルなどを指標として5つに分類した(表1)。 主な特徴として、クラスIは修飾アミノ酸を含むペプチド、クラスIIは耐熱性のある低分子ペプチド、クラスIIIは熱感受性タンパク質、クラスIVをタンパク質、脂質、糖質の複合体、クラスVを環状ペプチドであることとバクテリオシンを分類している。

乳酸菌のバクテリオシン

日本の研究者が中心に行っているバクテリオシン研究として、ヒト腸内に存在する有用菌であり、プロバイオティクスとして、ヒトの健康に大きき寄与していると考えられているLactobacillus gasseriの産生するガセリシンをあげることができる。 ガセリシンAは、L. gasseri LA-39が生産するバクテリオシンでN-末端とC-末端が結合した環状構造を示すバクテリオシンであり、クラスVに分類される。現在、本バクテリオシンの食品への応用研究が進められており、グリシン存在下では、グラム陰性菌に対しても抗菌活性を発揮する。また、ガセリシンTは、L. gasseri SBT2055が産生する活性本体が2つのペプチドよりなる典型的なクラスIIに属する典型的なバクテリオシンである。ガセリシンA、TともにListeria monocytogenesBacillus cereusStaphylococcus aureus などグラム陽性菌に対して幅広い抗菌活性を示す。 ガセリシンTは、乳中に豊富に存在する2価金属イオンにより産生が抑制されるが、キレート作用のあるクエン酸三ナトリウムの添加により生産が回復されることが明らかにされており、その作用機構について研究が進められている。

2.バクテリオシンの食品への利用

これまでにバクテリオシン産生乳酸菌の食品への応用例としてナチュラルチーズ、ソーセージ、液卵中の食中毒細菌を含む汚染菌制御が検討されている(Millsら2))。 乳酸菌のバクテリオシンのうちLactococcus lactisの生産するナイシンAは世界50カ国以上で食品への添加が認められており、我が国でも2009年3月2日に食品添加物として認可され、「保存料」として使用できるようになった。ただし、使用できる食品や添加量に規制があるため、使用に際しては注意が必要である。

参考文献
1)Kemperman, R., Jonker, M., Nauta, A., Kuipers, O. P. and Kok. J., Appl. Environ. Microbiol., 69, 5839-5848 (2003).
2)Mills, S., Stanton, C., Hill, C. and Ross, R.P., Annu. Rev. Food. Sci., 2, 299-329 (2011).

(冠木敏秀、中島 肇)