公益財団法人日本ビフィズス菌センター/腸内細菌学会 Japan Bifidus Foundation(JBF)/Intestinal Microbiology

用語集


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炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD)

炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD)は広義には感染性腸炎なども含めるが、狭義には原因不明とされる潰瘍性大腸炎とクローン病(Crohn’s disease)を指している。好発年齢は20歳代と若く、2010年で潰瘍性大腸炎が約13万人、クローン病が約3万人で、発生率は欧米の1/5~1/10であるが、近年年率8~10%と増加している(食事の欧米化、高脂肪食が原因か?)。
潰瘍性大腸炎は大腸粘膜および粘膜下層がびまん性、連続的に侵される原因不明の非特異的炎症性疾患で、直腸から上行性、連続的にびらん、潰瘍、浮腫、充血、炎症性ポリープなどを形成する。症状は粘血便、下痢、腹痛が高率に見られ、特に粘血便は必発。クローン病と共通で、症状がある時を活動期、症状が消失した時を寛解期と呼ぶ。活動期には発熱、頻脈、貧血、腸雑音の亢進、腹部圧痛などを認める。合併症としては硬化性胆管炎を除き、クローン病と同様の腸管外合併症(虹彩炎、アフタ性口内炎、結節性紅斑、壊死性膿皮症、腸性関節症、強直性脊椎炎など)がまれに見られる。クローン病と共に、便細菌培養で病原性菌検出されず、原虫検査で赤痢アメーバ陰性などが必要条件。薬物療法としては5-ASA製剤、副腎皮質ステロイド、免疫抑制剤(アザチオプリン、6-MP)があり、白血球除去療法や抗TNF-α抗体療法も行うことがある。外科的治療は、上記の内科的治療に反応しない例、中毒性巨大結腸症、大出血例、穿孔例、癌化例が施行される。人工肛門にならない全大腸除去、直腸粘膜除去、回腸肛門吻合術が標準である。
クローン病の主病変は小腸、大腸であり、存在部位により、小腸型、小腸大腸型、大腸型に分類される。病変は口腔から肛門まで全消化管に起こりうる。 病変は非連続性(skip lesion)で、縦走潰瘍、敷石状外観を特徴として、病理所見では全層性の炎症性細胞浸潤があり、非乾酪性肉芽腫が見られることがある。症状としては、腹痛、下痢、発熱、体重減少が主症状。難治性の痔瘻、貧血、食欲不振、血便を訴えることもある。潰瘍性大腸炎と比べ血便は少ない。治療としては、栄養療法として成分栄養療法(elemental diet: ED、経腸栄養法)、完全中心静脈栄養法(total parenteral nutrition:TPN)があり、薬物療法としては、5-ASA製剤、副腎皮質ステロイド、免疫抑制剤(アザチオプリンなど)、抗菌薬(メトロニダゾール)などが使われるが、無効例も多く、最近は有効性の高い抗TNF-α抗体が盛んに使われている。外科的治療は手術後に再発が多いので、できるだけ避ける方向にある。
いずれも原因不明とされているが、最近の研究で、腸内細菌が原因の1つであることが明らかになってきている。潰瘍性大腸炎ではFusobacterium varium、クローン病ではEscherichia coli, Mycobacterium paratuberculosisが候補として挙げられている。

(大草敏史)