公益財団法人日本ビフィズス菌センター/腸内細菌学会 Japan Bifidus Foundation(JBF)/Intestinal Microbiology

用語集


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感染性腸炎(infectious colitis)

感染性胃腸炎とは、微生物が原因となって惹き起こされる腸管病変を主体とした疾患群の総称で、原因となる微生物には細菌、ウイルス、原虫、寄生虫などがあり、多種多彩である。最近の発生頻度をみると、ノロウイルス(Norovirus)、カンピロバクター(Campylobacter jejuni/coli)、サルモネラ属菌(Salmonellae)という順である。
ノロウイルスは、以前は牡蠣などの貝類の生食による食中毒とされていたが、近年は感染患者からの排泄物を触れただけで感染する(ヒトーヒト感染)ことが明らかになってきた。有効な治療薬がないので、脱水補正の輸液などの対症療法を行い自然治癒を待つだけである。また、ノロウイルスの治療として止痢剤を投与するとかえってウイルスの排泄が遅れて回復が遅れるといった報告もあり、ビフィズス菌や乳酸菌といったプロバイオティクス投与で症状の軽快が得られたという報告もあるので、プロバイオティクス投与が勧められる。
カンピロバクターの感染性腸炎についても軽症例については、自然治癒することが多く、抗菌薬を使用しなくても良いことが多い。しかし、①38℃以上の発熱、②1日10回以上の下痢、③血便、④腹痛や嘔吐といった項目の内、②1日10回以上の下痢ともう1項目以上が認められるといった重症例では、クラリスロマイシン、エリスロマイシンやロキタマイシンといったマクロライド薬やホスホマイシンなどの抗菌薬療法が必要である。本感染症は肉類、特に鶏肉から感染することが多く、また、潜伏期が3~5日と長いのが特徴であり、近年増加が著しい。潰瘍性大腸炎と誤診される場合もあるので、下痢、血便の時は、必ず、便細菌培養検査を行うべきである。
チフス菌を除くサルモネラ属菌の感染性腸炎についても、軽症例については、自然治癒することが多く、抗菌薬を使用しなくても良いことが多い。しかし、①38℃以上の発熱、②1日10回以上の下痢、③血便、④腹痛や嘔吐といった項目の内、②1日10回以上の下痢ともう1項目以上が認められるといった重症例では、レボフロキサシン、ホスホマイシンやアンピシリンなどの抗菌薬療法が必要である。また、小児や高齢者などのように抵抗力の弱い患者や、調理従事者、施設や保育園などの集団生活者などでは抗菌薬療法の適用となる。サルモネラの保菌率は鳥、豚、牛などの家畜で高く、汚染を受けた肉類や鶏卵から感染することが多い。また、ペットのミドリ亀が保菌しており、そこからうつる場合もある。潜伏期は8~48時間と比較的短く、近年、ニューキノロン系抗菌薬に対して、高度耐性を示す菌株も分離されているので、感受性検査も必要である。

(大草敏史)