プロバイオティクスとは、アンチバイオティクス(抗生物質)に対して提案された用語であり、共生を意味するプロバイオシス(probiosis、pro:共に、~のために、biosis:生きる)を語源としている。Fuller(1989)により「腸内フローラのバランスを改善することによって宿主の健康に好影響を与える生きた微生物」と定義され、これが現在でも広く受け入れられている。プロバイオティクスの候補としては乳酸菌やビフィズス菌が有名だが、以下のような条件を満たすことが科学的に証明された特定の菌株に限り、プロバイオティクスと考えられている。
プロバイオティクスの条件
プロバイオティクスの持つ有益な効果として、便秘および下痢症の改善効果、乳糖不耐症の改善効果、免疫機能改善による感染防御・アレルギー抑制効果、動脈硬化の予防効果、抗腫瘍作用などが報告されている。本邦では、特定保健用食品制度があり、科学的な証明に基づいてその機能の表示が許可された発酵乳商品が販売されている。近年、よりエビデンス・レベルの高い無作為化プラセボコントロール試験がその評価に用いられるようになっており、従来にも増してプロバイオティクスの科学性が重要視されている。現在許可されているビフィズス菌・乳酸菌、オリゴ糖類ならびに乳酸菌、プロピオン酸菌発酵由来の成分が関与成分である特定保健用食品の一覧をこちら1)に示したので、参照されたい。
出典
1) 上野川修一・山本憲二(監修).2011.世紀を超えるビフィズス菌の研究―その基礎と臨床応用から製品開発へ―.p.365–395,(財)日本ビフィズス菌センター,東京.
(辻 浩和)