公益財団法人日本ビフィズス菌センター/腸内細菌学会 Japan Bifidus Foundation(JBF)/Intestinal Microbiology

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トランスフォーミング増殖因子β(Transforming Growth Factor-β:TGF-β)

トランスフォーミング増殖因子(Transforming Growth Factor-β:TGF-β)は、哺乳動物で3種類のアイソフォーム(TGF-β1, -β2, -β3,)が存在し、構造的に類似したTGF-βスーパーファミリーには、アクチビンやBMP(骨形成誘導因子)などが含まれる。TGF-βは当初、繊維芽細胞の形質転換を促進する増殖因子として同定されたが、近年の研究で、多くの細胞種に対して増殖抑制、細胞分化やアポトーシスの誘導などにも寄与することが明らかとされている。例えば、骨芽細胞の増殖やコラーゲンのような結合組織の合成・増殖を促進する一方で、上皮細胞や破骨細胞の増殖に対しては抑制的に作用することが報告されている。従って、他の増殖因子と同様に、細胞分化・遊走・接着にも関与し、個体発生や組織再構築、創傷治癒、炎症・免疫、癌の浸潤転移などの幅広い領域において重要な役割を果たしていると考えられている。
TGF-βの発現は発生初期から観察され、その後、広範な組織・器官で確認できる。主に、腎臓、骨髄、血小板など、ほぼすべての細胞で産生され、高分子量の不活性型として分泌・蓄積し、標的細胞の近傍で活性化を受けて作用を発揮する。TGF-β1は細胞外マトリックスタンパク質の産生および沈着促進に働く重要な因子であり、線維化を来たす各種疾患(肺線維症、肝繊維症など)においては血漿TGF-β1の高値が認められる。TGF-βは2種類のセリン/スレオニンキナーゼ型受容体に結合し、Smadのリン酸化を介してシグナルを伝達する。TGF-β1遺伝子ホモ欠損マウスの50%は正常に発生、誕生、生後2週目までは順調に発育するが、生後3週目以降は炎症性疾患の病態を発症し、死亡する。また、残りの50%は、血管形成と造血不良によって、胎生10.5日目に死亡する。すなわち、TGF-β1は生体の恒常性を維持する重要なサイトカインの一つで、その異常が様々な病気の進展、生命維持に関与する重要な因子である。

(木村郁夫)