腸内細菌叢の解析が主に培養法で行われていたころは“intestinal flora”が主な表現であったが、その解析に遺伝子を基本とする分子遺伝学的手法が取り入れられるになってから “gut (intestinal) microbiota, microbiome” と言う表現が主となった。
Microbiotaとmicrobiomeの 違いは曖昧な部分もあるが、あえて説明するとすれば、microbiota は細菌、微生物の集団を意味し、「細菌叢、微生物叢」に近い。Microbiomeは一定の区域に生息する細菌叢、微生物叢全体を意味しそこに含まれる遺伝子物質を含めた概念と言える。
Micro-の後のbiotaは生物相(floraとfauna, 一定の地域の動植物)、biomeは生物群系(気候区分ないし植物群系に対応した生物群集の単位)との説明もあり、biomeは生体や環境との関係を意識したニュアンスと言える。しかし、microbiota, microbiomeどちらも日本語では細菌叢、微生物叢と訳されるため分かりにくい面もある。
参考までにPubMedで論文タイトルを検索するとmicrobiota, microbiomeは以下のように使われている。
① Feeding the microbiota-gut-brain axis: diet, microbiome, and neuro-psychiatry.
② The human microbiome and
cancer.
③ Synbiotics impact on dominant faecal microbiota and short-chain fatty acids production in sows.
(伊藤喜久治)