プロバイオティクス(生菌)の代表であるビフィズス菌や乳酸菌は、一般的に、酸に弱いためそのまま摂取した際に胃酸による影響を受け、死滅してしまう割合が多い。そこで、生菌を耐酸性のカプセルに内包し、生菌を配合した錠剤あるいは生菌末自体に耐酸性の加工を施すことで、腸管への到達性を高めている。このように、プロバイオティクス(生菌)を効率的に腸まで届けるために、利用されている技術が腸溶性カプセル(耐酸性製剤化)である。主にサプリメントとしてプロバイオティクスを提供する場合、多くは耐酸性製剤として加工されている。
例えば、2枚のフィルムシートに内包物を挟み込み圧着・圧切により包む「ソフトカプセル」や、円筒形のボディに内包物を入れキャップをはめ込む「ハードカプセル」の場合、カプセルの皮膜に耐酸性を付与するが、継ぎ目部分が弱いため、カプセルを耐酸性素材でコーティングすることもある。生菌末を配合した錠剤や、生菌末を耐酸性素材でコーティングすることで耐酸性を高めることもできる。液中滴下法で作製されるシームレスカプセルは継ぎ目がない球形のカプセルであるため、耐酸性を付与した皮膜で生菌を包含することで、高い耐酸性を得ることができる。
耐酸性付与を実現するために利用される素材としては、高分子物質や樹脂状の物質(シェラックなど)、酸性領域では溶解せず中性領域で溶解する物質(ペクチンなど)などがある。これらを配合しカプセル皮膜成分として利用、あるいはコーティング素材として利用することによって、高い耐酸性やpH依存的な崩壊を可能にしている。
(河野麻実子)