公益財団法人 腸内細菌学会/腸内細菌学会 Japan Bifidus Foundation(JBF)/Intestinal Microbiology

用語集


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シアル酸(sialic acid)

シアル酸はノイラミン酸の誘導体である酸性糖質の一種である。ウシ顎下腺より分離されたことから、唾液(saliva)にちなんでシアル酸(sialic acid)と名付けられた成分で、1950年代にブリックスやクレンクなど複数の研究グループによって明らかにされた(1)
シアル酸は、ガングリオシドや糖たんぱく質の構成成分として脳や神経に多く含まれており、その量は乳児期に増加することから、このような器官の形成や機能の発達に関与すると考えられている。実際に、ガングリオシドを強化した乳児用ミルクを0~6か月齢のヒト乳児に摂取させた試験では、6か月齢において認知機能の発達が報告されている(2)
また、シアル酸は、上述のガングリオシドやシアリルラクトースなどのシアル酸化合物の形態で母乳にも含まれている事が報告されており、その濃度は生まれて間もない新生児が摂取する初乳で最も高く、産後日数を経るとともに減少していくことが報告されている(3)。これらの母乳に含まれるシアル酸化合物は、口腔、咽頭および消化管でウイルス、細菌などが細胞に付着することを拮抗的に防ぐことで感染を防ぐことが予想されている(4)

参考文献
(1) Lundblad A. Ups J Med Sci. 2015; 120: 104–112.
(2) Gurnida DA, Rowan AM, Idjradinata P. et al. Development. 2012; 88: 595-601.
(3) 井戸田正, 松岡康浩, 菅原牧裕ら 日本栄養・食糧学会誌. 1994; 47: 357-362.
(4) Nakano T, Sugawara M, Kawakami H. Acta Paediatr Taiwan. 2001; 42: 11-17.

(小林俊二郎)