公益財団法人 腸内細菌学会/腸内細菌学会 Japan Bifidus Foundation(JBF)/Intestinal Microbiology

用語集


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ファーミキューテス(firmicutes)

ファーミキューテス門は、低G+C含量のグラム陽性細菌から構成されており、高G+C含量のアクチノバクテリア門(Actinobacteria)とともに、グラム陽性細菌の主要なメンバーである。16S rRNA遺伝子配列に基づく系統関係から、バシラス綱(Bacilli)、クロストリジウム綱(Clostridia)、クリコイディバクター綱(Culicoidibacteria)、デスルフリバシラス綱(Desulfuribacillia)、エリシペロトリクス綱(Erysipelotrichia)、リムノコルダ綱(Limnochordia)、ネガティウィクテス綱(Negativicutes)、サーモリソバクテリア綱(Thermolithobacteria)、ティッセレッラ綱(Tissierellia)の9綱に分類される。ファーミキューテスの名前は、その分類群の細菌の細胞表層構造が強固であることに由来しており、ラテン語の「強固な」を意味する形容詞firmusと「皮膚」を意味する名詞cutisの2つの語から作られた複合語である。ファーミキューテス門には乳酸菌や多くの腸内細菌が含まれている。酪酸産生菌として有名なFaecalibacterium prausnitziiはクロストリジウム綱に含まれる。グラム陽性細菌の分類は、細胞形態(球菌あるいは桿菌)と胞子形成の有無がこれまで重要視されていたが、本門を代表するバシラス綱とクロストリジウム綱に含まれる属・種の中には球菌と桿菌が混在しており、また無芽胞のものも存在することにより、これらの形質では属以上の分類群を特徴付けることはできない。
なお最新の国際原核生物命名規約ではファーミキューテス門はバチロータ門(Bacillota)とされている。

(坂本光央)