公益財団法人 腸内細菌学会/腸内細菌学会 Japan Bifidus Foundation(JBF)/Intestinal Microbiology

用語集


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腸管上皮細胞(intestinal epithelial cells)

腸管上皮細胞は管腔面に接する単層立方上皮を構成する細胞である。その機能は、栄養と水分の消化吸収、ならびに体内への異物の侵入を防ぐバリア、内分泌機能による消化液の分泌と腸管運動の調節など多岐に渡る。腸管上皮細胞によるバリア機能の低下は、微生物や未消化物などの体内への流入を招き、リーキーガット症候群(Leaky gut syndrome)を引き起こす。

腸管には陰窩という管状のくぼみが存在する。陰窩は細胞分裂が盛んな場であり、上皮細胞は底部に存在するLgr5陽性の腸管上皮幹細胞から産生される。小腸では陰窩上部に絨毛が形成されるが、大腸では絨毛は形成されない。

腸管上皮細胞は6種存在する。吸収上皮細胞(Enterocyte)は最も多く存在する細胞であり、栄養と水分の消化吸収を行う。杯細胞(Goblet cell)は粘液を分泌し粘液層を構築する。パネート細胞(Paneth cell)は陰窩に存在し抗菌物質の産生による感染防御、幹細胞増殖因子の産生による上皮幹細胞の維持を行う。腸管内分泌細胞(Enteroendocrine cell)は食餌性脂質や糖質を感知し、様々なホルモンを分泌することで消化や食欲、代謝を制御する。タフト細胞(刷子細胞, Tuft cell)は2型免疫応答を惹起することで寄生虫感染からの防御に関与する。M細胞(Microfold cell)はパイエル板の濾胞関連上皮に存在し、管腔内抗原を取り込む細胞である。

(木村俊介)