日時 |
平成18年6月1日(木)・2日(金) |
会場 |
北里大学 薬学部 コンベンションホール 東京都港区白金5-9-1 TEL 03-5791-6256(微生物学教室内) ※例年と会場が違います。ご注意下さい。 |
会長 |
檀原宏文(北里大学) |
参加費 |
- 会員:7,000円
- 一般:8,000円
- 学生:2,000円
- (予稿集会員無料配布、当日別売 1,000円)
- (懇親会費 2,000円)
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9:30 ~ |
開会の挨拶
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9:10 ~ 14:30 |
一般講演発表 一般演題抄録はこちら(PDFファイル) (12:05 ~ 13:00 休憩) |
14:35 ~ 14:40 |
JBF研究奨励賞授賞式 |
14:40 ~ 15:05 |
受賞講演 I 鎌田信彦(慶應義塾大学医学部消化器内科) 「腸管マクロファージの分化異常が腸内細菌に対する過剰な免疫反応を引き起こす」 抄録はこちら(PDFファイル) |
15:05 ~ 15:30 |
受賞講演 II 福島洋一(ネスレ日本株式会社) 「プロバイオティクスと宿主の生体防御機能に関する研究」 抄録はこちら(PDFファイル) |
15:30 ~ 15:50 |
休憩 |
15:50 ~ 16:40 |
JBF設立25周年記念式典 |
16:50 ~ 17:40 |
JBF設立25周年記念講演 石坂公成先生(ラホイヤアレルギー免疫研究所名誉所長,日本学士院会員) 「研究者と自然科学を支えるもの」 |
17:50 ~ 19:30 |
懇親会 北里本館にて 参加費:2,000円 |
9:30 ~ 10:20 |
特別講演1 抄録はこちら(PDFファイル) Diversity and Activities of Lactic Acid Bacteria and Bifidobacteria in the Human Intestine Assessed by Molecular Approaches Elaine E. Vaughan Unilever R&D, Olivier van Noortlaan 120, 3133 AT Vlaardingen; Wageningen University, Laboratory of Microbiology, Hesselink van Suchtelenweg 4, CT 6703, Wageningen; The Netherlands |
10:30 ~ 12:30 |
シンポジウム1『腸内フローラ解析の最前線-各種解析法の特徴と可能性』
- 伊藤喜久治(東京大学大学院農学生命科学研究科)
「はじめに-これまでの流れ」
- 田中隆一郎(ヤクルト本社中央研究所)
「ヒト腸内フローラの解析:培養法と定量的PCR法の比較」 近代細菌学は、Louis Pasteur(1822-1895)、Robert Koch(1843-1910)らに代表される微生物の純粋培養技法の確立に始まる。以来、20世紀の約100年間の微生物学はこの培養を基本とする方法論が主流であった。しかしながら、20世紀末からの分子生物学の興隆は新しい微生物の認識法を提案しており、これらは定量的PCR法、FISH法,クローンライブラリー法、DGGE法など多彩である。培養法は人工培地を用いるがゆえに微生物相の再現に選択圧がかかること、定量的観点からは多くの場合回収菌数が低く、ヒト大便サンプルでは顕微鏡下の菌数の15ー58%に過ぎない。他方、定量的PCR法は大便から抽出したDNAを標的に、腸内フローラ構成菌の16S rDNAの遺伝子配列にもとずく菌属、菌種特異的プライマーを用いる方法である。培養困難な微生物も認識され少なくとも70%以上の回収が認められる。これらの生態系を解析する方法論の特質を述べる。 抄録はこちら(PDFファイル)
- 中山二郎、Prapa Songjinda、田中重光、立山 敦、園元謙二
(九州大学大学院農学研究院) 「各種分子生物学的手法による乳幼児腸内細菌叢の解析」 演者らは、乳幼児におけるアレルギー発症と腸内細菌叢の関連性を疫学調査する目的で、分子生物学的手法を用いた糞便細菌叢の迅速簡便解析法の確立を目指している。これまでに、16S rRNA遺伝子をターゲットとしたDGGE法とT-RFLP法の有用性を検討した。DGGE法は操作に熟練を要する点が難点であるが、実験に成功すれば同一ゲル内において10サンプル前後の細菌群集構造を視覚的に捉えることができる。細菌叢の経時変化の解析や、サンプル間の細菌叢の比較などに有力な情報を得ることができる。各バンドの菌種に関する情報を得るためにはさらなる手間と時間を要するが、菌種レベルでの同定が可能である。T-RFLP法においては、DNAシーケンサーを用いたハイスループット解析が可能で、また各菌種マーカーを保有しなくても、16S rRNA配列データベースを使用した属あるいは種レベルでの同定が可能である。しかし、異属の菌同士が同一長の制限酵素断片を有するケースは多々あり、一義的な同定ができない点に注意を有する。現在さらなる迅速・簡便化を目指して、リアルタイムPCR法およびDNAマイクロアレイ法の導入を試みている。 抄録はこちら(PDFファイル)
- 服部正平(北里大学 北里生命科学研究所、理化学研究所GSC)
「腸内フローラのメタゲノム解析」 メタゲノム解析は、自然界の複雑多様な細菌集団のゲノム情報を(培養を経ないで)直接大量に獲得し、そのインフォマティクス解析によって、構成菌種や遺伝子組成等、機能に直接関わる生命情報を得る解析法である。すなわちこの手法によって、自然環境中で圧倒的多数を占める難培養細菌を含めてバイアスなくその全体像を解析でき、細菌ー細菌間や細菌ー環境間に存在する相互作用に関わる遺伝子/機能の解明、さらには多くの未知菌種や機能遺伝子の発見等が期待される。今日のゲノム解析技術の進歩によって、メタゲノム解析はfeasibleであり、既にいくつかの環境細菌集団の解析が行われている。本講演では、その菌種構成がきわめて多様で、さらに個人(生活様式)や健康状態等で大きく変動するヒト腸内フローラのメタゲノム解析について報告する。なお、膨大な量のデータ生産と解析が必要とされるヒト常在細菌解析を効果的に進めることを目的にした国際協力によるヒトメタゲノムプロジェクトも最近提案されている。 抄録はこちら(PDFファイル)
- まとめ(総合討論)-今後の方向性
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12:30 ~ 13:30 |
休憩 |
13:30 ~ 14:20 |
特別講演2 抄録はこちら(PDFファイル) Innate and Acquired Immune Responses Mediated by Nod proteins Elaine E. Vaughan Naohiro Inohara University of Michigan Medical School, Department of Pathology |
14:40 ~ 16:40 |
シンポジウム2『過敏性腸症候群(IBS)とプロバイオティクス』
- 川野 淳(大阪大学大学院保健学専攻機能診断学)
「IBSの臨床」 過敏性大腸症候群(Irritable Bowel Syndrome:IBS)とは腹痛と便通異常を主体とする消化器症状が持続する症候群であるが、その原因としての器質的疾患を同定し得ない機能的疾患であるという概念の症候群である。消化器症状の病態生理が次第に明らかになりつつあるがその大部分は消化管機能異常に由来するものと考えられ、食道から大腸まで同様の症候群が存在し欧米ではこれらをfunctional gastrointestinal disorder(FGIDまたはFD)と総称している。その診断基準も呈示され現在では病態解明が盛んであるが、一方、この疾患群の中には多くの異なる原因による異常も存在し、IBSでは腸内細菌と宿主との関係も重要視されている。本シンポジウムでは広く用いられているIBSの定義、病態、症状など主に臨床的側面から現在のIBSへの対処を紹介し、本症候群を概説する。 抄録はこちら(PDFファイル)
- 六反一仁(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部ストレス制御医学分野)
「ストレスと腸内環境からみた過敏性腸症候群の病態生理」 腸機能は、迷走神経支配に加え、視床下部・下垂体・副腎系による調節を受ける。逆に、腸内環境の変化や異常運動は視床下部・下垂体・副腎系を直接活性化させる。脳腸相関(Brain-Gut interaction)と呼ばれる相互作用の破綻は、機能性腸疾患発症の要因の一つと考えられる。この代表的な疾患が過敏性腸症候群であり、ストレス反応と病態との関連が強く示唆されている。うつ病の身体症状の一つとして腸の機能異常がよく観察され、過敏性腸症候群の約30%の患者で、三鐶系の抗うつ薬が症状を軽快させると報告されている。腸のホメオスタシスは、自然免疫応答と腸上皮細胞のバリアーによる腸内細菌叢の適切なコントロールにより維持されており、腸内環境の改善は直接こころの健康管理に結びつく可能性がある。これらの観点から、こころのプロバイオテイクスとしての腸内細菌の可能性について述べたい。 抄録はこちら(PDFファイル)
- 福田能啓(兵庫医科大学消化器内科)
「プロバイオティクス・麹はNUD患者の臨床症状を改善させる」 便秘や下痢を繰り返し、そのたびに激しいまたは耐えられない腹痛を伴う過敏性大腸症候群irritable bowel syndromeの原因は多種多様であり、ストレスや腸管運動異常に起因する症状群の一つと考えられる。これまでは、腸管運動異常改善薬や抗うつ薬などの薬物療法が対症療法中心的役割を担ってきた。Brain→Gutへのシグナリングが腸管運動異常に影響を及ぼすと考えられるが、逆にIntestine→Brainへの影響も少なくないと考えられる。我々は、腸内細菌叢とその変化から生じる産生物の作り出す腸管内腔相が腸管蠕動や腸管血流に影響を及ぼすことを検討してきた。プレバイオティックスやプロバイオティックス投与による腸内細菌叢の変動がIBSの症状改善に役立つかについて検討したので報告する。 抄録はこちら(PDFファイル)
- 梶本修身((株)総合医科学研究所,大阪外国語大学)
「IBS関連プロバイオティクスの特保化の展望」 整腸作用に関する特保は、これまで数多く上市されているが、その多くは便秘傾向者を対象としたものであり、その便通の改善を目的とするものである。一方、下痢や軟便に苦しむ人口は、過敏性腸症候群(IBS)を含めると日本人の5-7人にひとりとも言われているが、それを改善する特保は未だ開発されていない。特に下痢型IBSは、便秘と異なり、長距離移動ができないなど日常生活や社会生活に支障を来すケースもあり、その改善を望む声も大きい。IBSは、心理面とともに食生活を含む日常生活習慣と深く関係しており、食生活の改善によって軽快することも期待されることから、この数年、食品メーカーを中心に下痢・軟便を主症状とするIBS軽症レベルあるいは軟便・下痢を来しやすい傾向の方を対象としたトクホの開発が行われている。本口演では、その最新情報をお伝えするとともに、特保取得の可能性と課題について検討する。 抄録はこちら(PDFファイル)
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16:40 ~ 16:50 |
閉会の辞 田中隆一郎(ヤクルト本社中央研究所) |